コラム

COLUMN

2021年7月29日

太陽光の角度②|太陽光を理解する

地球の公転によって季節は変わっていくのですが、季節ごとの太陽の動きをしっかりと認識することが大切です。

前回お伝えしたように日照時間も夏至(6月21日)では長くなり、冬至(12月21日)では短くなりますが、季節によって太陽光の地上にあたる角度も地軸のずれによって起きていることがわかります。これが季節による太陽光の角度の違いです。

 

具体例として弊社ショールームでの日射の角度を確認してみましょう。

住所は【東大阪市鴻池本町8番25号】です。この地点は【北緯34.7°, 東経135.6°】になります。

図で描くとこんな感じで建物に対して太陽の軌道が季節ごとに移り変わっていくのがわかります。

春分・秋分は日の出が真東、日の入りが真西になり、最もスタンダードな日射の角度となります。それぞれの季節ごとのショールームの太陽の12時の角度(南中高度)を見てみましょう。

具体的にはこんな感じで南からの太陽光が建物(窓)にあたることがわかります。

なるほど!季節によってこんなに建物(窓)に当たる太陽光の角度は変わるのですね!

冬は日射熱利用暖房(冬はしっかりと家の中に太陽の熱を取り込み暖をとる)、夏は日射遮蔽(建物全体で日射による熱量を少なくする工夫)が効果を発揮しそうですね。

それぞれの季節の南窓に当たる太陽光エネルギーの量は前回「日射量と熱エネルギー」で見たように窓1㎡あたり平均すると冬は約336w/㎡夏は132.9w/㎡の熱が当たるのです。それぞれの季節の日射角度を把握し、建物形状、屋根はもちろんのこと、庇の形状や窓の配置計画、窓回りの付属部材の設計を行うことで省エネで快適な暮らしが一歩進みそうですね!

ここではあまり詳しく触れませんが、1つ覚えておいていただきたいことがあります。

パッシブデザインの代表的な建物の形状として、夏の暑さ対策として南に大きく屋根や庇がついた家があるのですが、あまり夏の日射遮蔽(窓から入る太陽の日射エネルギーを少なくすること)を重視しすぎると春や秋の日射も屋根で遮ってしまい、日射取得量を減らしてしまうという点を注意してください。

また、季節ごとの日射の角度の話をするときにどうしても、夏至と冬至を使って話することが多いのですが、タイコーではパッシブデザインの実務設計で夏至と冬至を使いません。太陽の角度自体は確かに夏至が最も高く、冬至が最も低いです。しかし気温という意味では夏至の6月21日は梅雨ではありますがまだまだ暑くはありません。また、冬至の12月21日もまだまだ寒さが始まったくらいです。ですので、タイコーでは夏の設計をするときは夏至ではなく本当に暑い8月20日、冬の設計をするときは冬至ではなく本当に寒い1月20日で日射取得が適切にされいるかどうかをシミュレーションして設計をしていきます。

こうすることで、実際に最も厳しい気温の夏・冬を快適にお過ごしいただけるお家を設計していくことができるのです。