コラム

COLUMN

2021年7月24日

太陽光の角度①|太陽光を理解する

さて今回は、太陽の動きについて見てみましょう。

当然、皆様は東から登ったお日様が南の空を通過して西に沈んでいくのを知っておられると思いますが、季節ごと、時間ごとの太陽の正確な位置や動きをご存知でしょうか?

パッシブデザインで最も大切な太陽光のエネルギーを活用・調整しようと考えるなら、この季節ごとの太陽の動きを把握することは必須となります。

小学校の理科で習った昼と夜はなぜ変わる?季節はなぜ変わる?をちょっとだけ思い出してみましょう。

良く知られているように、地球は自分自身で1日に1回転しています。

まず昼と夜の話ですが、これは地球が1日に1回くるっと自転しているから昼と夜が存在します。太陽に対して表側を向いているときは昼の地域、裏側が夜の地域ということになります。

次に季節の変化ですが、これは太陽を中心に地球が365日(正確には365日と5時間18分45.97秒)かけて公転しているからですね。

日本が夏の地球の位置を見てみると、日本の位置する北半球の国々は昼が長くなるのがわかります。逆に南半球は夜が長くなります。すなわち冬になります。


夏は緯度が高くなる(地球儀の上のほうに行く)とどんどん昼の時間が長くなっていきます。

地軸にある北極では夏は昼しかない状態になります。地球のど真ん中にある赤道ラインは緯度が0になり、昼夜の時間が等しくなります。赤道近くの国々が暑いのは太陽からの光の角度が垂直に近い角度で当たることになるためです。

壁を懐中電灯で照らした際に、垂直に照らすと丸く斜めから照らすと楕円に照らされます。楕円のほうが照らされる面積は広いですが薄暗くなります。懐中電灯から出る光の量は同じなので単位面積あたりに当たる光の量が少なくなるからです。

ではちょっとずつリアルな日照の話にしていきましょう。

おさらいですが地球儀の上下の線が緯線、左右の線が経線です。東経は朝と夜の日の出、日の入り時間が変わるだけで日照には関係ありません。

ここで注目すべきなのは緯線、北緯です。

日本は南北に長いので札幌で北緯43°、東京35°、大阪34°、那覇26°と結構大きな違いがあります。

夏に最も太陽の高度が高くなる(先ほどの懐中電灯の垂直に近くなる状態=単位面積当たりの光の量が多い)夏至(6月21日前後)の各地の日照時間を比べてみましょう。

都市 日の出 日の入 日照時間
札幌 3時55分 19時18分 15時間23分
東京 4時25分 19時00分 14時間35分
大阪 4時45分 19時14分 14時間29分
那覇 5時35分 19時25分 13時間47分


やはり夏は北緯の高い札幌の日照時間が長くなるのですね!札幌と那覇の日照時間の差は1時間30分ほどです。

冬に最も太陽の高度が低くなる(先ほどの懐中電灯の楕円型に光が当たる状態=単位面積あたりの光の量が少ない)冬至(12月21日前後)では逆に北緯の高い札幌は日照時間が一番少なくなります。

都市 日の出 日の入 日照時間
札幌 7時03分 16時03分 9時間00分
東京 6時47分 16時31分 9時間44分
大阪 7時01分 16時51分 9時間50分
那覇 7時12分 17時42分 10時間30分


ここでも札幌と那覇の日照時間は1時間30分ほどとなります。

ただし注目すべきは夏至と冬至の日照時間の差で、冬至の札幌は6時間以上も昼が短くなり。那覇では3時間17分しか短くないという点です。

大阪では4時間39分の日照時間の差がありました。

なるほど、夏は朝方も明るくて、夕方になっても明るい理由がよくわかりますね。では、具体的に太陽の動きの違いによって建物にあたる光がどのように変わっていくのか?を次の回では見てみましょう。