コラム

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2021年7月15日

気候区分②|太陽光を理解する

では次に、地域ごとの太陽の日射量について見てみましょう。

2⃣も3⃣も太陽の日射量を表す地域区分になるのですが、少し性格が違っています。

2⃣ 年間日射量地域区分
太陽光発電や太陽熱給湯機の省エネルギー効果を計算するときに使用

3⃣ 暖房期日射量地域区分
パッシブデザインの日射熱利用暖房における「集熱」「蓄熱」を考慮する指標として利用

ですので、どちらかというと2⃣はアクティブ的要素であり、機械設備の検討に用いられる区分です。給湯エネルギーの削減も大きな省エネになるので一概には言えませんが、個人的にパッシブデザインという意味では、3⃣の日射熱利用暖房が有効な地域かどうかを区分している暖房期日射量地域区分のほうが重要だと思っています。

ここでは大阪府の市町村別にこの2⃣と3⃣がどんな地域区分となっているのかを見ていきましょう。

前回の地域区分と同じく、実際のエリアの気候風土と完全に合致するかというと・・・計測値が不明のため、実際の日照時間と即応していない可能性もあるかもしれませんが、こちらが現在の大阪府の日射区分(上:年間日射量地域区分、下:暖房期日射量地域区分)となります。

こんな感じで2⃣ 年間日射量は南と北ではっきり分かれていますが、大阪府は全体的に良い結果ですね。A3とA4区分しかないので太陽光設備等は比較的どの地域でも有効に利用できるということになります。

3⃣ 暖房期日射量では大阪府の中でもかなり幅がありますね・・・

大まかにいうと、海に近いエリアと山に近いエリアがどうも日射量が少ない感じですね。東大阪市はH1区分で不利なエリアにされていますが、生駒山の観測所データではそうなりますよね~(笑)

大阪平野が広がる平野部は概ね良好な日射をえることができるようです。単純に冬の天気が良いといったほうが判りやすいかもしれません。

気象庁のデータより30年間のデータから見る都道府県別の日射量ランキングでは、大阪は15位で2028時間全国の平均が1908時間なので全国的に見ると日射量が多いということになります。

 

トップの山梨県(甲府市)は2219時間、最下位の秋田県(秋田市)で1526時間なのでその差は約700時間!日本の国土は東西南北に長いので1年間での日照時間もこれほどまでに差があるのです。

そう考えると日射量の多い大阪では太陽の光と熱を利用しないのは損ですよね?

ここでは、日射量が多いエリアのことだけではなく、パッシブやアクティブにかかわらず太陽光と熱を利用した家を設計することにメリットがあるということを覚えておいてください。

気象庁のウェブサイトから全国のアメダスデータが無料でダウンロードできるのでご興味のある方は、ぜひご自身の建築地の気象データを見ていただけたらと思います。