コラム

COLUMN

2021年7月13日

気候区分①|太陽光を理解する

日本列島は東西南北に長いので当然その地域ごとに気候・天候の違い、日射量や寒暖の差があります。日本の気候区分は3種類あります。

1⃣地域区分   1~8(寒い~暖かい)

2⃣年間日射量  A1~A5(少ない~多い)

3⃣暖房期日射量 H1~H5(少ない~多い)

まずは1⃣の地域区分から見てみましょう。日射量の話なら2⃣と3⃣なので太陽光の話から少しずれてしまいますが・・・やはり日射量の違いが気候(外気温)に密接にかかわっていることなのでサラッとここで解説させていただきます。

パッシブデザインの実務設計を行う上では最も一般的な住宅の断熱性能のレベルを決める指標の一つなのでとっても大切です。

平成28年に制定された基準では、1~8の8つの地域に区分されています。家を建てる地域によって性能の数値化がされており、地域ごとに異なるレベルの断熱性能が求められるようになりました。

 

地域区分を決めるルールは外気温と暖房想定温度(この場合は18℃)の温度差を日ごとに積算した「暖房デグリーデー(度日)」によって区分されています。具体的には外気温が18℃より寒い日に18度との差を積算していきます。

例えば冬の期間100日の平均外気温が3度なら100日×(18度-3度)=1500暖房デグリーデーとなります。これだと地域区分的には6地域に分類されます。

ちなみに大阪は5地域6地域に分類されています。

 

 

暖冷房を年間を通じてどのくらい使用しているのかを計算する「暖冷房負荷計算」や「室温シミュレーション」をするときに、実はこの5地域と6地域の差が大きく影響してくるのです!

5地域のほうが暖房エネルギーが増えるので実務で計算していくと、この地域の違いは結構不利に働きます。

暖房で使用するエネルギーが増えるということは、ZEH住宅化するときに屋根の上にのせる太陽光パネルの枚数も増えるということになるのでコストにも跳ね返ってきたりします。

余談ですが平成28年度旧地域区分を見てみると・・・

タイコーの本社がある東大阪の鴻池新田(6地域)から500mほど西に歩けば大阪市内になって5地域になるので、省エネルギー的にはずいぶん有利なエリアに変わります。体感的には全く変わりませんけどね・・・

東大阪市の暖房デグリーデーは生駒山の標高626mの計測所で測った温度データをもとに算出しているので標高10mまでの普通の2階建てを建てている我々の感覚と違うのは当然です。そもそも生駒山は奈良県・・・

画像:「地域気象観測所一覧」抜粋/気象庁

 

東大阪市は面積的には大きな市になりますが、生駒山の裾野に近い奈良川の石切付近のエリア以外はほぼ平坦地・・・なのに計測値は標高642mの生駒山のほぼ山頂。

結果最寒月の1月の平均気温が大阪市は5.8℃で1551暖房デグリーデーつまり6地域なのに対し、東大阪市は0.7℃で2679暖房デグリーデーつまり5地域となっています。ツッコミどころ満載ですが、それが最近まで東大阪市で省エネ住宅を建てる時の基準値としている外気温データとなっていました。フゥ~・・・(笑) 

 

最後に地域区分ごとに現行の平成25年基準で設定されている断熱性能の基準値も載せときますので、ここでは「なるほど!寒い地域と暖かい地域では具体的な断熱の性能を示す数値基準もこれだけ大きく差(約2倍)があるんだな~」ぐらい覚えておいてください。

※表記している断熱の性能値についてはまたどこかで解説させていただきます。