コラム

COLUMN

2020年1月10日

「住宅のロングライフ化」とは

このコラムは、タイコーが家づくりにおいて大切だと考えている3つのテーマについて書かせて頂いてます。

「Passive Design」「Long-life」「Fit」それぞれ3つのタイトルに分かれています。 

さて今回は、ロングライフのコラムの第1話目。

人々の暮らしの中で、長く使い続けられているデザインをロングライフデザインと呼びます。
「LONG=長い」「LIFE=命」を組み合わせた造語で、流行に左右されることのない普遍的で優れたデザインを意味します。

一般的には、完成した製品にこのロングライフデザインという言葉が使われますが、私は一棟ごとに設計し、現場でつくりあげる「家」こそ、ロングライフを考えなければいけないのではないのか?と考えています。

なぜなら日本の家は、世界の中で飛びぬけて住宅の寿命が短く、約30年と言われています。

30年では、2世代を引き継ぐどころか、1世代も持たないというのが現実なのです。
新築の時はカッコよかった家も、豪華な家も、広々した家も・・・・等しく同様に。

しかしながら、日本の家造りもこの「つくっては壊す」スクラップ&ビルド型の社会から「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」ストック活用型の社会への転換を目指しており、長期にわたって住み続けられる家の基準として平成20年12月に長期優良住宅制度が発足しました。

耐震性能、断熱性能(省エネルギー性能)だけでなく維持管理や劣化対策なども含まれており、少なくともこれまでの住宅よりは長期の耐用年数となる住宅の9つの基準が規定されています。

日本の耐用年数の短さの原因はいくつかあげられていますが、私は以下の4点が最も主要な原因ではないかと思います。


01| 耐震、耐久性において長持ちさせるための性能が不足していたため
02|家族構成やライフスタイルの変化に対応できるフレキシブルな家でなかったため
03|断熱気密性が低く、快適な家でなかったため
04|中古市場での建築物の価値が確立されてなかったため


長期優良住宅は発足当初は100年住宅などと呼ばれ、現在でも認定を取得していれば「良い家」との一般的な認知もすすんできています。(平成30年度で新築戸建てにおける長期優良住宅の普及率はたったの約24%ですのでまだまだ普及はしていませんが・・・)

こうした国の基準のおかげで少しづつではありますが、住宅のロングライフ化へ向けて道は進んでいるようにも思えます。

ただし!この長期優良住宅の認定だけ受けていれば本当に長い耐用年数の家になるのか?疑問が残ります。

その理由として以下の4点が挙げられます。


01|日本が世界で類をみない超地震国であり、繰り返しの大地震に遭遇する可能性がおおいにあること(繰り返し起こる大地震についての検討までは建築基準法で定められていません)
02|住宅建築の各工程において長期優良住宅認定だけでは本当に正しい施工を行っているかわからいこと
(長期優良住宅には現場検査は無く、書類による審査のみだからです)
03|長期優良住宅の性能基準が、将来の法改正等によって求められていくレベルに届いていないこと
04|家における保証、住み続けることを前提とした点検、メンテナンスの体制が現実には整っていないこと


タイコーの家におけるロングライフの考えは、「家は強くしなやかにそこに在り続けるもの」です。

強くしなやかに=「地震・災害に強く」そこにあり続ける=「施工品質・メンテナンス・保証」と考えています。
地震に強くというのは当然のことで、その上で建築現場で人の手によって作られていく仕事であるからこそ、必要な施工品質を備えて家をつくるということ、家を適切に守り続ける体制が整っていること、それがロングライフデザインであると考えています。

何はともあれ、まずは何より大切な「耐震」について次回からすこしずつお話しさせて頂きます。