コラム
COLUMN
2021年8月17日
日照シミュレーション|太陽光を理解する
太陽光の熱エネルギー量、季節ごとの太陽の角度などパッシブデザインに必要なことが少しずつ見えてきました。
実際に家を設計していくとなると、捨て置けないものがあります。思い出してみましょう。
パッシブデザイン5要素 + 地域 + 立地 + 住まい手
・・・そう、「立地」です。
パッシブデザインで家を設計していくときに、とても重要な要素として実際の立地があります。
季節ごとの太陽光の角度を見て、冬の温かい日差しが取り入れられるように考えて設計した家も、建築地の周りに太陽の光を遮ってしまうような建物が建っていたら、実際には窓からの日射を得ることができないからです。
当然、イメージしていたのとは全く違う、暗くて寒い家になってしまいます。なんと恐ろしい!でも実はそこらじゅうでこんなことが実際に起きています。
一級建築士の設計の先生から「南に掃き出し窓をとっているので明るくなりますよ」と言われたというだけの理由でその窓にちゃんと太陽が当たると信じて家を建てる方が多いのですが、それは大変危険です!
建築士には窓に日射が当たるかどうかを確認する義務がないという事実を知っておいてください。
建築基準法で義務付けられているのは、窓の面積(採光量)だけです。どの方位にとった窓でもいいですし、隣の家との距離が近い場所にとった窓でもいいのです。季節ごとに移り変わる太陽の角度や周囲の建物の影響で変わっていく「本当の日当たり」について誰もチェックしていないし確認していないということを知っておいてください。
実際の建物には周りにある建物や木々、土地の高低差などで建物に日射が当たらない状況が季節ごと、時間ごとに生まれます。本当は「いつ、どこに日射が当たって、どこに当たらないか」をしっかりと確認しながら建物を平面ではなく立体的にとらえて、丁寧に設計していく必要があるのです。そしてこれは、パッシブデザインの本質的な要素でありとても大切なことなのです。
タイコーではSkechUpという3Dソフトを使ってお施主様にもわかりやすく、太陽の光の入り方を見ていただきながらプランニングしていきます。
設計士がどのような意図をもって建物の形状を決め、窓を配置したのか。外観がカッコイイだけの理由では無いのです(笑)
その理由も効果も、実際のシミュレーションで窓から入ってくる季節ごとの太陽の光を見ていただくとしっかりと理解していただけると思います。
「しっかりと考えられたプラン」と「実際に建てた家」とのシンクロ率、これがパッシブデザインにおいては最も大切なことの1つです。皆様も実際の家の日射は家を建てる前に・・・その図面で請負確認をする前に(笑)3Dシミュレーションで必ずご確認ください。
家づくりを失敗した、と嘆く前に・・・
タイコーのパッシブデザインがどのようなものであるか。
実際に建った家とプランニング時のシミュレーションのシンクロ率をぜひ一度見てください。
残念ながらお客様には、その精度が高すぎて実際に完成しても某劇的なリフォーム番組のように「なんということでしょう!」と驚いていただけません。建てる前にそうなると知っていたので(笑)
パッシブデザインは机上の理論でも、建物の仕様でもありません。
1軒の家のためだけに考えられる現実に快適で省エネな家をつくるための設計手法であり、本当に人々に喜ばれる省エネで快適な家をつくりたいと考えている工務店、設計事務所のための設計手法です。
効率よく大量に家を販売することが目的である大手ハウスメーカーやローコストパワービルダーの中でパッシブデザインを唱っている会社が1社も無く、地域に根付いた工務店や、設計事務所だけがパッシブデザインを学び、実現しているという現実。
そこに深い意味があるということを、覚えておいてください。