コラム

COLUMN

2022年9月16日

耐震100%実行委員会

さて、悪法である建築基準法第6条3項「4号特例」の廃止について。

日本の住宅を100%耐震住宅に」というスローガンを掲げながら真剣に考えて活動している団体をご紹介させていただきます。

実は私、会社のお仕事とは別に個人でこの団体の理事としても以前活動させていただいておりました。「耐震性の高い住宅を建てたい!」と思ってタイコーで家を建てさせていただくお施主様は当然、許容応力度の構造計算を行った耐震住宅でお住まいしていただくのですが、家を建てるすべての方が、4号特例のことや耐震住宅とそうでない住宅の違いを知っておられるわけではないと思っております。

「知らない」で家を建てることは「罪」なのでしょうか?

きちんとした耐震のことを知らないで住宅会社を信用して建ててしまった人は「しょうがない」のでしょうか?

私は、そんなの間違っていると思います。

耐震のことは「知ってほしい」ことではありますが、日本の建物の法律である建築基準法を信頼して家を建てられることは国民として当然であり、非耐震住宅がいまだに建て続けられているという法律の抜け道が存在しているのであれば、そこを改正するというのはプロとして当然のことだと考えています。

建築基準法第20条にはこう書かれています。

「建築物は、侍従、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない

本当に当たり前のことが書かれています。しかし実際にはこの構造計算をされることはなく、「建築基準法20条1項4号イ」によって政令(建築基準法施工令40~49条や、またその委任を受けた告示)の仕様規定だけで実際は構造が決められています。柱と柱の間にナナメに取り付けられている筋交い等の倍率だけで実際には図面が描かれています。

仕様規定というものもまた簡易な構造計算ではありますが、実際に仕様規定だけで設計した家を構造計算してみると、ほぼ100%の割合で部材の強度が不足する等のエラー判定が出ます。

レベル1:仕様規定(簡易構造計算によって判断する)

レベル2:性能表示計算(仕様規定と許容応力度計算の中間のレベル)

レベル3:許容応力度計算(詳しい構造計算を行う)

構造計算は前回お話ししたように3種類のレベルがあるのですが、法律が改正されても、下位の構造計算のやり方は残されているのでこの3つは現在も同時に存在します。

レベル2の性能表示計算で設計した耐震等級1(1~3までの3段階の等級がありその一番下)の家はレベル1の仕様規定で設計した家と計算の仕方が異なるだけで耐震性は同じレベルだと思っておられませんか?

私たちも最初はそう思っていました。

計算のやり方が違えど、結果出てくる安全性能は同じであると・・・

建築基準法の仕様規定による建物は、実は品確法(住宅の品質確保の促進などに関する法律)の基準適量を満たしません。仕様規定で建てられた家は、耐震等級1もないというのが事実なのです。ここだけ聞いただけでも即刻、仕様規定は廃止したいところですが・・・その前段階で、仕様規定すら満たしているかどうかのチェックをしていないのが現状です。

こんな家を生み出さないためにも当然、タイコーとしてはレベル3の許容応力度構造計算の家を建築していきます。

そして私個人の活動としては、4号特例の廃止を訴えていきたいと思います。

下記に資料を添付していますが、実際に4号特例の廃止の提訴は過去に行われており、国交省からは平成21年5月には4号特例を廃止するとの発表がなされていましたが実行されず。そして2022年4月22日には4号特例縮小法案が国会に提出されました。

4号特例縮小とは、これまで提出すら義務付けられていなかった資料(壁量計算図表等の法律の仕様規定を満たしている旨の計算書伏図・軸組図・基礎伏図・基礎断面リスト等の構造図面一式)を添付するだけのことです。許容応力度設計をした構造計算書が必要な建物の延床面積は従来500㎡以上だったものが300㎡以上に厳格化されるものの、一般的な2階建て木造住宅にはまだ構造計算書は求められない見通しです。

次の段階として4号建築物(500㎡以下の2階建て木造建築物)に構造計算を義務化していくという2段階の法律改正が良いのではないか?と考えていますが、いつになることやら・・・

耐震100%実行委員会の法人設立時にもスピーチをいただきました日弁連の神崎哲弁護士の2018年3月15日付の「4号建築物に対する法規制の是正を求める意見書」も添付させていただきます。ご参照ください。


出典:日本弁護士連合会「4号建築物に対する法規制の是正を求める意見書」

平成25年5月までに4号特例を廃止すると発表していた国交省も諸事情により実施されずにいます。

諸事情とは・・・

「確認申請に構造検討が増えると、審査時間が延びる」

「確認申請手数料が増える」

など、消費者のためのように聞こえる反対意見があったためですが本当の理由はどうなのでしょうか?

「仕様規定の壁量計算なんてやり方がわからない!」

「構想計算できない会社をつぶすつもりか!」

という情けないプロサイドの事情が本音なのではないでしょうか。

1日でも早く日本の住宅が100%耐震住宅になることを願っております。