コラム
COLUMN
2024年9月13日
2025年からの法改正、SE構法は大丈夫?
※2024年04月21日に投稿されたブログと同じ内容です
こんにちは、タイコーの池本です。
木造建築物を対象に構造関係規定の見直しを行い、建物の省エネ化(断熱材の増加、トリプルガラスサッシ、太陽光パネルなど)に伴う建築物重量の増加に対応するため、必要壁量・柱の小径の設計基準が43年ぶりに強化され、2025年4月から施行予定となっています。
実はこの改正は実務者だけが知っていたら良い、というわけでもないのです!
今回は法改正後の耐震基準がどうなるのか簡単に解説させていただきます^^
そもそも現在の仕様規定における木造建築物の耐震基準は、許容応力度計算などによる構造計算基準と比べてかなり低いと言えます。
建築基準法における仕様規定基準は壁量計算で確認されます。同じ住宅で壁量計算と構造計算(許容応力度計算など)を行ってみると、どうしたって壁量計算のほうが壁量の少ない間取りにできます。
では壁量計算と構造計算、それぞれで行う耐震等級を比較してみます。
壁量計算のほうが甘いとはいえ、構造計算による耐震等級と順番に並ぶのかな…と思いますよね。
なんと実際にはこのように構造計算による耐震等級1よりも、壁量計算による耐震等級2が弱いのです。また2022年10月に長期優良住宅認定制度の改正があり、木造2階建て以下の住宅(壁量計算)の場合の長期優良住宅は等級3でなければなりません。
そして現在は設計図書を省略して建築確認申請を行えるので、実は国として耐震性を把握できていないのです。
では、2025年から具体的にどのような変更があるのか説明させていただきます。
■4号特例の大幅縮小
法改正後は現行の4号建築物はなくなり、新しい3号建築物と2号建築物に分かれます。
法改正後は現行の4号建築物はなくなり、新しい3号建築物と2号建築物に分かれます。延べ床面積が200㎡以下の木造平屋が該当する新3号建築物は、現行法と同じように一部の図書の省略が可能です。
そして新2号建築物は、4号建築物に該当する範囲でいうと審査区分が仕様規定と構造計算の2つに分かれます。
木造平屋200㎡~300㎡/2階建て300㎡以下が仕様規定での審査区分です。この区分では、今まで省略することができた構造関係の規定等の図書が確認申請時に必要になります。木造3階建てであること、もしくは延床300㎡を超える場合には構造計算が必要になりました。
■壁量計算による必要壁量の変更
→在来工法やツーバイフォー工法などで壁量計算を行う場合、改正前と比べて必要壁量が大幅に増える(窓量が減り、間取りの自由度も制限される)
構造計算による耐震等級1よりも、壁量計算による耐震等級2が弱いのはおかしいということで、壁量が1.6倍増えることになりました。
もし改正後も壁量計算を行って設計する場合、現在成り立つ間取りも実現できなくなり、窓量が減ってしまいます。窓が減るということは断熱性能は上がりますが、開放的でなかったり居心地良さなどが感じられない間取りになる可能性が高いです。
■縦横比によって求める柱の太さ(小径)の変更
→一般的な2階建て木造住宅(在来工法など)では柱120角が標準寸法になる
建築物の重量化に対応するため、柱の太さの基準が強化されます。更に今までは屋根が軽いor重いなどの区別しかありませんでしたが、多雪地域の基準が追加されました。具体的には梁成によって管柱の長さが変わるのですが、座屈計算を行わない場合は梁か柱どちらかが太くなり、コストアップします。
座屈計算を行わない場合、一般地域でも柱長さが3mを超える場合は確実に120角の柱になります。105角柱を使う場合は天井最高高さが2.3mくらいしかとれないかもしれません。
柱の長さによって105角~120角と幅が生まれてしまいます。おさまりを考え施工する手間を考えると、ひとつのお家に太さの違う柱を使うことは無いと思います。ということで、在来工法ですと105角の柱は使いづらくなると予想できます。
今回説明した変更点は2025年4月施行後に確認申請を提出する木造建築物から適応されます。
ということは、これから家づくりを始めるとなると法改正後に確認申請を提出することになるかもしれません。家づくりを始めるタイミングと家づくりを任せる会社選びには少し注意しておかないと、納得できる家づくりが出来なくなるかもしれないので、まだ家づくりを考え始めたばかりの皆様は頭の片隅に置いておいていただければなと思います。
弊社では耐震構法SE構法を標準仕様とさせていただいております。SE構法は構造計算する際には「許容応力度等計算」を行っております。立体フレームモデル(接合部にバネがあるモデル)で立体解析を行っており、床や屋根の水平構面は変形する前提で解析しています。
また、接合部や層間変形角の確認など高度な構造特性を活かした構造設計をしています。壁量計算で構造の確認を行っておりませんし、また柱の太さも元々荷重による座屈計算(通常120角)を行っておりますので、法改正後も壁量が増えることがなく、間取りの自由度、大空間大開口の実現は変わりなく設計に活かすことができます。
もっとSE構法について、タイコーの家づくりについて聞きたいという方は是非一度タイコーのモデルハウスにお越しください。じっくりお話させていただきます!