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2023年10月7日
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耐震性に限らず幅広い関心をもって資産価値を高める家づくり|専門家との対談・特別編
こんにちは、タイコーの池本です。
先日アップした株式会社エヌ・シー・エヌの前田さんとの対談はみなさんご覧いただけましたでしょうか?
対談時だけでなくいつお会いしても熱意を持って住宅について幅広くお話してくださいます。
知識を持ちつつ頭でっかちにならずに、一般のお客さまにもわかりやすく省エネ住宅に住むメリットを提示できるよう日々研究してらっしゃいます。
そのときに同じくVision House LIFEに訪問してくださっていたエヌ・シー・エヌの重量木骨事業部部長 中川勝人さんにも貴重なお話を聞かせていただきました。
対談ページにアップする内容ではないけれどブログならOKと仰っていただきましたので今回は特別編としてお話していた内容を少しご紹介。またいつかじっくり仁九郎社長と対談していただける時間をいただければなと思います!
【羽】中川さんは耐震構法SE構法を扱う株式会社エヌ・シー・エヌの中でも重量木骨プレミアムパートナーというグループのトップなのですが、一体普通のSE構法と何が違うのか、どんなことをこれから実現していきたいと考えてらっしゃるのかなどをざっくばらんにお伺いしていければなと思っております。よろしくお願いいたします。
まずは重量木骨の家プレミアムパートナーについて簡単に説明していただけますか。
【中】そもそも株式会社エヌ・シー・エヌは日本に耐震性のある安全な木構造を広めていくこと、そして資産価値のある家づくりを実現させていくことが目的として発足されました。耐震性の面では皆様ご存知の通り、耐震構法SE構法を商品として販売していますが、現在この構法を扱っている会社は全国に600社。
しかしこれはあくまで「耐震」についての話です。資産価値は当然お金に代わる価値なので高い耐震性だけじゃ不十分かなと思います。
そこで耐震性に限らず省エネ、耐久性、維持管理、メンテナンスなど幅広い関心をもって資産価値を高める家づくりができる工務店さんをピックアップさせていただき、一緒に切磋琢磨しながら資産価値の高い家づくりの仕組みを築き、運営していこうというのがプレミアムパートナーです。
全国の工務店5万6千社中の1%、重量木骨の家という取り組みの中では600社の中から選ばれた71社が現在プレミアムパートナーとして登録されています。
【中】最初は耐震だけを専門としていましたが、2004年に「資産価値のある家づくりをしたいお客様を集めよう」「プロの目線で自分自身が家づくりを任せたいと思う会社を集めよう」と田鎖社長が言い出したんですよね。それはつまりどこに広めても間違いはないだろうというような会社さんを集めていくということで、耐震構法SE構法を扱ってくださっていた会社さんに「資産価値を高めた家づくりをしてみませんか」と声をかけていきました。
最初は40社、タイコーさんもそのうちの1社でした。そこからはエリアを少しずつ広げていき、耐震構法SE構法を採用している会社がないエリアも1社ずつ増やしていき、今は全国北海道から沖縄まで対応できるようになりました。
【羽】なるほど。
それでは耐震構法SE構法の家と重量木骨の家の違いについてお伺いしたいです。
【中】耐震性は一緒ですよね。ただ資産価値の点で、第三者が評価できる仕組みにしているというところが違ってきます。保険、保証、省エネ計算もしかりですし、第三者が評価できる数値化。金融機関もあるだろうし保険会社、お施主様もしかり、第三者からの評価がキーとなっています。
【羽】「良い家」って漠然とした言葉でしかなくて、何がどのように良いのか伝わらないですよね。
2004年だとまだ省エネ基準が決まってなかったかなと思うんですよ。
【中】そうですね。
住宅性能評価が始まったのも2000年ですからね。
ほとんどの人が使ってなかったので、何をもって「良い家」なのかの基準をみんな持ってなかった時代なんですよ。
【羽】感覚的だったものを定量的に評価して、第三者が見て証明書を発行する。
そのあたりを整備しているところが重量木骨の家の特長ですかね。
SE構法と重量木骨の違いがなんとなくわかってきたところで、重量木骨の家だからできるパッシブデザイン及び省エネ設計とは一体どんなものなのか教えてください。
【中】開口と吹き抜けが最大のポイントですかね。
つまり日射取得がしやすいということです。骨組みがラーメン構造だからできること。陽光をどうしたら取り入れることができるのか、室温にどう影響させることができるのかを考えやすい構法だと思います。
【羽】それに加えて温熱計算や室温シミュレーション、光熱費などを通してお施主様にわかりやすい単位になおして説明できるように工夫されていますね。
【中】建築地の地域や間取りがそれぞれ違っていても省エネ計算手法を統一していれば、誰でも1つのソフトからそれぞれの結果を出せる。そういう考えのもと、色々開発してきました。
【羽】ようやく国が省エネ基準に力を入れてきましたが、まだまだ我々が先をいく感じですね(笑)
重量木骨の家の歩みを聞いていると、タイコーがずっと提唱してきた「強くて快適でちょっとかっこいい家づくり」とものすごく重なる部分が多いなと思います。こういったテーマを掲げて家づくりをしていく仲間が増えていくとすごく嬉しいことなのですが、各地の工務店さんによっては地域ごとに特色が異なるじゃないですか。例えば新潟では豪雪地帯ですし、岡山だと大阪よりは比較的あたたかい。一概にパッシブデザインを強く押し出すのではなく、高気密高断熱に寄っていく工務店さんもいらっしゃるでしょう。
【中】建築する場所によって気象条件、室温条件が異なりますもんね。
北海道から沖縄となるとあまりにも違います。ハウスメーカーやフランチャイズは商品がひとつ、そこから断熱仕様の変更ができるだけです。そういう商品を見ていると、少し首をひねってしまいます。それぞれの地域によって特徴的な気候がありますし、毎日天候も室温も湿度も違う。もっと言うと、風も雪も違いがある。だからその条件に応じて何が最適解なのかっていうのをそれぞれ導き出していくべきだと思いますね。
【羽】耐震構法SE構法自体はフランチャイズではありません。一律仕様が決まっており生産サイドの都合によって商品が決まっているのではなく、ユーザビリティが高くカスタムしていける。そして使いやすい温熱計算ソフトであったり、構造計算などのサポートをして地域の工務店のバックアップをしてくれています。
【中】ありがたいことを言ってくださいますね(笑)
こちらとしてはカスタマイズできるプラットフォームを提供していきたいですね。地域の工務店さんがなかなか投資できない部分をカバーしていきたい。構造でいうと地震・風・雪、この3つが圧倒的。沖縄に行けば風、新潟行けば雪。沖縄では大丈夫でも、新潟では成り立たたない家になってしまいます。加えてパッシブデザインにも力を入れていますので、その場所ごとにカスタマイズできるプラットフォームとして重量木骨がお役に立てればなと思います。
【羽】真の意味での注文住宅。
工務店をサポートするための機能をもった企業であると。
【中】裏方ですね。
プランなどに口を出すことはないけれど、裏方として間違いない性能を担保します。
【羽】「重量木骨の家」と検索するとハウスメーカーなのかな?と思われるお客様も多いかと思いますが、似てる考えをもちつつ、それぞれの答えの導き方には特色があって、更に第三者からの評価と証明も欠かさない。なかなか頼もしいグループだと思うので、たくさんの方に注目していただきたいですよね。
重量木骨の家の中でも近畿6社でつくらせていただいた「くくのちグループ」、こちらについても教えてください。
【中】1番の原因はウッドショックでしたね。耐震構法SE構法では外国産の集成材を使用しており、世界情勢的にいつ材料がはいってくるのかわかりませんでした。それなら国産のほうが供給できるのではないかというところから「くくのちグループ」の活動は始まりました。ただし、重量木骨の家として省エネ住宅に力を入れていたので2030年、2050年を見据えて近畿の方だけであれば、国産材プラス省エネ、脱炭素になるんですかね。一緒にやらないかと言って始まったグループです。
簡単にエリアの木を使うというわけではなく、もう一つ上の段階を目指そうっていうわけですね。
くくのちプロジェクト視察の様子
【中】トップランナーとして、71社だと地域が違うのでやりにくい。同じ近畿のエリアであれば条件が似ているので断熱性能などは大きく変わらない。だからこそ実現できたプロジェクトです。偉そうに答えていますが、このプロジェクトは仁九郎さん発案ですよね(笑)
【羽】重量木骨の家は今大きい括りでまとまっていますが、今後はエリアごとに部会ができていく可能性がありますね。今回たまたま近畿バージョンが「くくのち」なのかなと。各エリアで面白い試みをしてくれるグループが現れるとたのしいですね。各地域の色が出てきて面白そうです。
日本には木がたくさんあるので、僕たちと同じようなアプローチでサステナブルなグループが出てくれば面白いですね。
【中】個人的にくくのちグループの皆様には、今後家を建てる人のウィキペディアになってほしいなと思っていて。なにかわからないことがあればくくのちを見ろ!あれはトップランナーだ!と(笑)
時代の先を見据えて先に取り組んでいるのがくくのち。義務化される予定のないことを良かれと思って挑戦している皆さんです。
くくのちさんのご活躍、楽しみにしています。
くくのちプロジェクト視察の様子
【羽】プレッシャーの方が大きいですが、頑張りますよ。
それでは重量木骨の家というグループについて教えてください。
【中】フランチャイズは売るための仕組みですよね。事業ですから売って利益が発生します。でもよく田鎖社長に言われるのが「1社ではできない仕組みをつくってその事実をプロモーションするんだ」と。それが結果として受注に繋がる。
長期優良住宅、パッシブデザインができることなど事実を伝える。その事実がお客様にしっかりと届いて、次の家づくりに繋がっていきます。仕組みと事実を大切にしています。
なおかつ、これから見直される国の法律が判っているのであれば先回りしておきたいです。2030年、2050年、省エネのためにやらないといけないことが決まってるわけです。そして2025年には専門用語ですが、四号特例が縮小になって、いままで確認申請の時に必要なかった構造図書が必要になってくる。わかってるんだったらやっておこうよ。すでに決まっている未来ならそこはクリアしておこうよと。
【羽】営業的な話だけでなく、このグループは勉強会も多いですよね。非常に勉強会へのお誘いが多い。埼玉への実験施設など視察や勉強会って実際1円にもなってないじゃないですか。なぜそのような勉強会を定期的に行うのですか?
TIMBER STRUCTURE LAB見学
【中】基本の型がないと型は破れないと思っています。
型無しではなく「型破り」になっていただきたい。法律って新しく出たら勉強しないといけない。耐震って目に見えないものなので、どう粘り強いのか?家にどんな影響をあたえるんだ?というのを実験施設を見て理解していただく機会は必要かなと思っています。営業メインの勉強会ではなくて知識のつく勉強会を今後も行っていきたいですね。
【羽】視察といえば色々な工務店さんのお家を見学したり、逆に弊社のお家を見学してもらったりと双方に刺激を与えてくれますよね。
【中】見てもらったらわかる通り、なにひとつとして同じものはありません。ですから必ず吸収できる部分はあるはずなんです。
【羽】そうですね。お客様からしてみれば似たようなところはあるかもしれませんが、同業者の視点で見ると違いがたくさんあります。差異化をうまくやっているのが重量木骨の家です。
【中】どうやったら家が売れるのかという小手先のことを学ぶよりも、実際に上手くいっている会社さんのやり方と物件をご覧いただいてご自身で吸収していただきたいです。
【羽】個性を生み出すには基本ができていないといけないってことですね。
【中】その通りです。
【羽】最初は我々も温熱計算やスケッチアップもできなかったですからね。これができてからやっと「我流」ができるんですよね。
僕も入社2年目、28歳くらいで重量木骨のトップランナーたちの中に放り込まれましたからね。今では中堅くらいの位置に属していますかね。今まで恩を受けていた分は誰かに繋いであげて、横のつながりを大切にしていく。すごく良いことだと思います。アフターケアもすごいのが重量木骨グループです。
ところで現在、「重量木骨の家」の平均価格帯ってどうなっているんですか。
【中】去年のデータで言うと平均施工坪数が40坪くらいとなっていて、平均工事価格は税込み4274万円です。
【羽】高いですね(笑)
【中】坪単価は平均110万円なんです。これはウッドショック、資材高騰によるインフレを加味しても高いです。大手のハウスメーカーさんが110~120万円。そこと比較すると安いのかなと思いますが、やっぱり世の中の平均収入から比べると高いんです。35年のローンの限界を感じます。
【羽】僕たちはもう少し安い単価で施工させていただいておりますが、近いところを走っていますよね。
【中】耐震、パッシブ、断熱、温熱計算・・・色々盛りこんでいくとこうなっちゃうんですよね(笑)
【羽】建築も高級料亭と同じで、良い素材のものを熟練の料理人が提供するのでこうなってしまうのは当たり前。ここを少し利きの良いところを見定めて、マイナーチェンジし、誰もが買える家づくりを目指していきたいです。こだわりは通しながら温熱計算などの数値をみて窓、外壁、あるいはインテリア、エクステリア、何にお金をかけるべきか見極めていくべきかなと思います。
【中】でも規格住宅はやりたくないですね(笑)
矛盾することもありますが、パッシブって土地の中でこそ生きると思うんですよね。
【羽】耐震だけではなく家づくりにおいて高いレベルのものを目指していることがわかりました。
2030年に向けて、これからの家ってどう変わっていくんでしょうか。
【中】これは本当に難しい話ですよね。
どんな方でも耐震・パッシブ設計の家に住めるような仕組みにしないといけませんね。現在は付加価値をメインとしているので、買いたいけど予算の都合上買えないという状況にある方が多くいらっしゃいます。誰もが買えるという仕組みにしていければなと思っています。ローンの仕組みを見直したり、例えば10坪の家といった超コンパクト住宅などいろんな家のカタチを生み出していく。誰もが住める、誰もが帰りたいと思う家を提供できるよう尽力していきたいですね。
【羽】新しい常識ですね。
NEW STANDARDになっていく。
【中】重量木骨の今年のキャッチコピーにもなっていますが「つよくあたたかくこだわりが叶う家」。
ここは変えずに、選ばれた工務店が建てることを前提としてお客様の間口を広げていきたいです。
中川さん、貴重なお時間をいただきありがとうございました。
これまでの専門家との対談はコチラからご覧いただけます。
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